基礎体温

思索の試作。嗜好の思考。

居心地の良さは耳から

心地よい居場所を日々探し求めておりますが、居心地の良さというのは何も空間だけとは限りません。たとえば音楽。自分にとって心地よい音楽や集中できる曲を聴けば、そこは特別な時空へと生まれ変わります。SONYウォークマンをリリースして以来、パーソナルな音響環境を身にまとえるようになったため、イヤホンあるいはヘッドフォンを装着すれば、即座に個人的な空間が生まれてくると言えます。

私も常にイヤホンを持ち歩いてます。カバンを取り替えた時などにうっかり家に置き忘れてしまうと不安になるほど、かなり依存しています。私は決して音響マニアなどではありませんが、どうせならそこそこいい音で聴きたいとは思っていて、多少いろんなイヤホンを買っては試してきました。(ちなみにヘッドフォンはしない派です。でかいので)

あるときからイヤホンのケーブル(線)がこんがらがるのがつらくなって、ワイヤレスに切り替えました。斜めがけのカバンを持ち歩くことも多いのですが、そうなるとケーブルがややこしいことになってしまい、さらに冬場でマフラーをしている時の「ひとり知恵の輪」みたいな状況に辟易していたので、ふと思い立ってAppleAirPodsに変えました。

これが結果的には良かった。まめに充電が必要だったり、ペアリングの切り替えが必要だったりはしますが、ケーブルの絡まりを意識せずに済むのがなんと気軽なことかと実感しました。

そんなある日、これまで一切興味のなかったノイズキャンセリングがふと気になり始めておりました。初めに申し上げた通り、心地よいパーソナル空間を構築する上で、イヤホンは極めて重要なファクターとなっていますが、特に私は電車で作業することが多いので、ノイズとの戦いという問題が常に生じています。電車の走行音はもちろんですが、特にうるさいのが車内アナウンス。なぜあんなに大きな音で何度もアナウンスする必要があるのか、特にJR。激しい曲の時はまだいいのですが、バラード系などの静かな曲やクラシックを聴きたいときはけっこう困ります。特にクラシックは音の振幅が大きいので、初めは静かだからと音量をめいっぱい上げていると途中からびっくりするくらい音が大きくなって慌てて音量を下げたり。また、落語やラジオ番組のようなトーク系がとにかく聞き取りづらい。

そこでノイズキャンセリングはどうかと思い、BOSEのイヤホンを買いました。本当はワイヤレスが良かったのですが、ワイヤレスといいつつも、医者が聴診器をかけているような感じで首から肩に変な(失礼)ものをかけないといけないため、これはビジュアル的に嫌だし持ち運びにも邪魔そうということで有線のものにしました。

ノイズキャンセリング機能はさすがにすごいもので、一瞬でまわりの雑踏が消えます。こんなに周りで音がしていたんだと気づくほどです(ただし声は聞こえる仕様なので、車内アナウンスがうるさいのは変わらずですが……)。おかげでピアノソナタを聴く頻度が増えました。以前はピアノソナタはとても聴いていられなかった。

そんなわけでBOSEは快適だったのですが、やはりケーブルがあるのが邪魔くさい。一度ワイヤレスの快楽を知ってしまったので、やはり線がややこしいのです。しかも初期不良だったのか私の使い方が悪かったのか、右側のイヤホンのある部分を触るとかなり大きな音でババッというノイズが出るようになってしまい、怖くて使いたくなくなってしまいました。ノイズキャンセリング機能付きなのに、イヤホン自体からノイズが出てくるなんて。修理に出せばいいのでしょうが、それも面倒くさくて、いつしかまたAirPodsに戻ってしまいました。

しかし、たまにはピアノソナタや落語をストレスなく聴きたい時もあるのです。そんなもやもやを抱えていたところ、ふとSONYが出しているノイズキャンセリング機能付きワイヤレスを見かけました。どうやらこれは変な聴診器のようなオブジェは付いてないようなのです。ユーザーレビューを見たところ、動画を見ると音ズレがひどいらしいのですが、いまのところ動画はあまり見ないのでこれはよしとして、早速購入することにしました。Amazonなら今朝注文して、本日中に届きます。さて、どうなることか。楽しみです。